日本財団 図書館


 

することが確認されています。
発病すると、一年半後には五〇%、五年後にはほぼ一〇〇%が死亡します。
ところで、潜伏期間中は体力もありますから、健康な人とまったく変わりありません。
このように病原体を持っているけれども、健康な人をキャリアと呼んでいることはご承知のとおりです。
エイズのキャリアは、潜伏期間中もずっと感染させる力を備えており、これがエイズウィルスの特徴です。
エイズキャリアが警戒され、恐れられている理由です。
特に感染直後から三カ月間は、血液中には大量のウィルスが存在しますから、感染させる危険が最も高い時期です。
さて、私たちの周囲には微生物がウヨウヨしています。
さながら微生物の海の中で生活しているといえましょう。
病気を起こさない無害の微生物でも、体が抵抗力を失うと大量に増殖し、病気を引き起こします。
これが日和見感染と呼ばれるもので、その良い例が、カリニ肺炎とカンジダ食道炎です。
カリニ肺炎を起こす微生物は、抵抗力の減少に伴って増殖し、ひどい呼吸困難を引き起こします。
質問されても喋れなくて、筆談をしなければならないほどの呼吸困難を生じます。
カンジダ食道炎は、カビの一種が食道にはびこって、物を食べると痛く、食事ができなくなります。
このカリニ肺炎とカンジダ食道炎は、日本人に大変に多いものです。
この他いろいろの微生物が増殖して、それぞれの病原体に応じた症状を現します。
従って、エイズの症状には、脳卒中とか心筋梗塞のように特有の症状がありません。
日和見感染で増殖した微生物の種類によって、症状はさまざまなのです。
エイズの特効葉やワクチンはまだ完成していませんが、いろいろと新しいことが分かってきて、それらが応用されています。
その一つに、CD4細胞が一立方ミリの血液中、四〇〇位に減っていると、発病注意の信号になります。
二〇〇位になるとエイズ関連症候群が現れ、二〇〇以下になるとカリニ肺炎が高率で発症します。
今ではこのCD4細胞を簡単に測定する方法も開発さ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION